「20世紀から21世紀へ」この転換期に対応すべき社会科学の任務は極めて重い。だが、現実は「パラダイムの転換」叫ばれるわりには社会認識の地平は混迷を深めるばかりである。その流れの一つに近代西欧的思考方法および近代科学の価値尺度に立脚する社会科学方法論に対する再考と転換があげられるであろう。かかる状況下で、欧米先進諸国において従来の視点とは異なる本格的な「東アジア企業のビジネスモデル」が活発化しはじめている。
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「20世紀から21世紀へ」この転換期に対応すべき社会科学の任務は極めて重い。だが、現実は「パラダイムの転換」叫ばれるわりには社会認識の地平は混迷を深めるばかりである。その流れの一つに近代西欧的思考方法および近代科学の価値尺度に立脚する社会科学方法論に対する再考と転換があげられるであろう。かかる状況下で、欧米先進諸国において従来の視点とは異なる本格的な「東アジア企業のビジネスモデル」が活発化しはじめている。
作者簡介
羅瓊娟
台湾生まれ、台湾東海大学社会学卒業
日本福岡大学大学院商学研究科博士前期課程修了
日本作新学院大学大学院経営学研究科博士後期課程修了
【現在】
台湾実践大学管理学院講師、同大学進修曁推広教育部企画経営主任
日本語検定協会J-test実用日本語検定台灣事務局代表
台灣高齡健康促進委員會行政企画組長なども務める
【専門領域】
経営学、経営哲学、企業倫理、組織行動学
【著書】
「退休後的心理調適與生活經營」揚智文化(2012年共著)
まえがき(問題の所在)
制度と文化のグローバル化と特殊化について
東アジアの民族問題と新たな相対的西欧化への道とは
近代儒教文化の経済倫理とその実践について
東アジアの地域性と文化力~東アジア企業のビジネスモデルは可能か
第一章 東アジアのデモクラシーの位相とグローバリズム
Ⅰ.現代デモクラシー論とグローバリズム
Ⅱ.デモクラシーの歴史的把握~「自由と平等」に関連して
Ⅲ.価値の多元化と自由の根源的意味~自由主義の二つの側面
Ⅳ.デモクラシーの現代的意義とグローバリゼーション
Ⅴ.新自由主義と東アジアの現代的位相~グローバリゼーションの一つの検証
Ⅵ.むすびにかえて
第二章 資本主義とグローバル化
Ⅰ.資本主義とは何か
Ⅱ.資本主義経済システムの転換~「資本主義対資本主義」
Ⅲ.資本主義の進化と多様化
Ⅳ.むすびにかえて
第三章 東アジアの文化的位相と中華思想の変遷
Ⅰ.東アジア文化圏と管理思想の伝統と革新
Ⅱ.80年代東アジア論と儒教文化圏の研究視座
Ⅲ.アジア的資本主義と儒教文化管理思想への再認
Ⅳ.中華思想の分有と現代アジア文化の様相~儒教文化圏
と冊封体制
Ⅴ.むすびにかえて~東アジア文化圏思想の新たな地平に向けて
第四章 東アジアの経済倫理と管理思想
Ⅰ.中国的社会構成原理とその管理実践
Ⅱ.アジア的社会構成原理~「天人合一の思想」と中国的倫理秩序
Ⅲ.内在的超越の力と内在的超越~「家族・血族愛」の社会的深層
Ⅳ.東アジアの市場秩序と状況的倫理~贈与論の再考について
Ⅴ.東アジアの経済倫理と中国の「企業倫理」の意味
Ⅵ.むすびにかえて~アジア的秩序と管理思想
第五章 東アジアの管理思想と管理実践
Ⅰ.中国人の管理哲学と「内環境と外環境」
Ⅱ.東アジアの儒教文化と管理思想の関連
Ⅲ.日本と中国間の職場環境の比較と管理実践
Ⅳ.中国人の内環境と外環境―職場環境における行動原理~中国の職場での「保守性」と「排他性」について
Ⅴ.職場の不正から学ぶ人材育成術~疑人不用、用人不疑
Ⅵ.むすびにかえて~中国人の管理哲学と管理実践
第六章 アジアのビジネス文化と現代中国の職業観
Ⅰ.現代中国におけるビジネス文化
Ⅱ.中国人の職業倫理とビジネス観の変遷
Ⅲ.中国のビジネス様式とマネジメント哲学
Ⅳ.現代中国の価値観と個人主義的キャリア志向
Ⅴ.中国のビジネス教育と大学教育
Ⅵ.中国の職業分類及び職業能力評価基準
Ⅶ.結―中国の人事管理面についてのポイント
結章 むすびにかえて
Ⅰ.アジアの宗教観と次世代主義へのパラダイムシフト~文明の衝突と「唯一神教」「多神教」思想
Ⅱ.東アジア(中国・台湾)の倫理秩序と贈与経済の内在化~儒教文化の倫理秩序と管理思想の連関について
Ⅲ.東アジアの地域性と文化力~東アジア企業のビジネスモデルは可能か掲載
図表一覧
参考文献一覧
論文.その他
序
まえがき(問題の所在)
今世紀に至り、科学的合理主義への信仰とその追求がなされるなかで個人的人格を離れ全体(組織)は沒主観的な外観を呈した合理的な機関・関係に進展する。いわゆる「支配」から「管理」の時代への移行である。それまでは人間の自立をうたった思想論争とは別に、身分的拘束ではないにしても精神的な人格的支配の内実は強く残存していた。資本というものを媒介にして経営の場は資本主義的合理主義を徹底追求し、組織は人間の協業・分業という枠組みを超えて「管理組織」としての明確な形態を整えてゆく。そこにおいては管理は支配者によるにしても「機構」に付与された権限を通じてであり、そのことにより全体性は維持される、という管理論並びに管理思想が支配的となる。かかる全体に対する個人の位置づけは、マックス・ウェーバーの官僚制論、F. テイラーの科学的管理法にみられるごとく、「支配」「管理」の歴史的意味の変容とその歴史的意義の定着をもたらす。
組織や管理の諸相を「全と個」という構図で問い直す視点は社会科学そのものの歴史であり、永遠のテーマでもある。そこには基本的に二つの立場がある。一つは個こそ実在するものであり全体は個によって個の合成として得られるという見地。もう一つは全体の実在性を認め、個に還元できない全体性を方法論的原理とする見地である。組織理論にはかかる方法論的対立の流れが底流にある。これらには哲学・思想史のそれぞれの立場が反映している。前者は理性主義、主観主義、実体=属性の基本前提、方法論的個人主義、機械論、原子論などが結びつく。後者はローマン主義、方法論的有機体主義と結びつく。
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