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東アジアにおける知の交流:越境・記憶‧共生

的圖書
東アジアにおける知の交流:越境・記憶・共生 東アジアにおける知の交流:越境・記憶・共生

作者:林淑丹陳明姿 
出版社:國立臺灣大學出版中心
出版日期:2018-07-03
語言:繁體書   
圖書介紹 - 資料來源:博客來   評分:
圖書名稱:東アジアにおける知の交流:越境・記憶‧共生

內容簡介

  近代以降的世界,資本流動範圍逐漸擴張,日益資訊化與國際化的同時,更加速了資本的擴展。這種情形影響了人們移動與定居的分布,對於文化面貌也帶來相當大的改變。東亞各國語言文化雖各有不同,仍有橫跨地域、跨領域的事實,透過民族想像、科技、經濟、媒體的營造,這些交流的情況不僅演變成複雜的社會現象,也成為值得人們深思、討論的課題。另一方面,東亞文化圈中也有某種共同記憶和生活模式,惟近代常因政治利益而產生種種摩擦與衝突。本書從以上幾個觀點出發,探究東亞知識交流的嬗變。

  近代以後の世界において、資本は移動する範囲を徐々に拡大し、情報化やグローバル化以後はその加速度をますます強めつつある。それは人間たちの移動と定住の布置関係に影響を及ぼし、文化変容のダイナミズムに地殻変動をもたらしている。東アジアにおけるさまざまな文化事象を考える際にも、地域やジャンルを横断する思考が求められている。個々の地域に固有の出来事と見える場合でも、それらはエスニックな想像やテクノロジー、経済、メディアを介して流布する言説などによって、重層的かつ乖離的に織り合わされている。こうした状況のもと、東アジア圏のさまざまな共同体において分有されてきた記憶が、人々の越境を通じて再編成されていくありようを考察することが、学問的に重要な課題となる。また、国家や文化の境界をめぐる摩擦や論争は今日でもなお頻繁に起きているが、そうした境界がむしろ混じりあう地点に注意を払いつつ、ともに生きるという意味での「共生」を実現していく可能性を探る必要がある。本書は、このような視点から、東アジアにおける知の交流の変容を論究したものである(本書「まえがき」より)。

 
 

作者介紹

編者簡介

林 淑丹(リン シュクタン)


  日本國立御茶水女子大學人間文化研究博士。現任台灣文藻外語大學日本語文學系主任教授,研究領域為日本近現代文學、比較文學、鷗外研究、日本幻想文學、日本漢文小說等。專著有《伝承・幻想・空間》(高雄:高雄復文圖書出版社、2014)、《明治期日本における『虞初新志』の受容》(高雄:高雄復文圖書出版社、2008)等書。研究論文則有「伝承・エロス・迷宮――澁澤龍彥「花妖記」における幻想の意匠」『芸術至上主義文芸』(40: 109-118)、「『夜窓鬼談』『東斉諧』の幻妖世界」『新しい漢字漢文教育』(57: 43-52)、「映画『一八九五』に表象された鷗外像」『鷗外』(93: 29-49)等。

  台湾生まれ。日本・国立お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士号取得。現在、台湾・文藻外語大学日本語文系教授/学科主任。専攻は日本近現代文学、比較文学、鷗外研究、日本幻想文学、日本漢文小説など。

  著書に『伝承・幻想・空間』(高雄:高雄復文圖書出版社、2014)、『明治期日本における『虞初新志』の受容』(高雄:高雄復文圖書出版社、2008)。主な論文に「伝承・エロス・迷宮――澁澤龍彥「花妖記」における幻想の意匠」『芸術至上主義文芸』40(109-118頁)、「『夜窓鬼談』『東斉諧』の幻妖世界」『新しい漢字漢文教育』57(43-52頁)、「映画『一八九五』に表象された鷗外像」『鷗外』93(29-49頁)などがある。


陳 明姿(チン メイシ)

  日本東北大學文學博士。曾任輔仁大學日本語文學系主任教授、台灣日本教育學會理事長、台灣大學日本語文學系主任教授、台灣大學文學院副院長,2017年7月從台灣大學退休。研究領域為日中比較文學,著有『唐代文学と平安朝物語の比較文学的研究』等書。

  1952年生まれ、日本東北大学文学博士。

  輔仁大学日本語文学科主任教授、台湾日本語教育学会理事長、台湾大学日本語文学会主任教授、台湾大学文学部副学部長を歴任、2017年7月台湾大学を退官、専門は日中比較文学、著書には『唐代文学と平安朝物語の比較文学的研究』などがある。

 
 

目錄

序文╱林淑丹、陳明姿

第一章 元日本兵の帰郷╱西成彦
第二章 越境、記憶、共存の根柢における「東洋」という概念―近代中日の知識人を中心に―╱呉光輝
第三章 生命と共同体の記憶―『楢山節考』の世界―╱林淑丹
第四章 張文環文学にみる保存的記憶―『山茶花』を例として―╱石川隆男
第五章 越境するノスタルジア―東山彰良『流』におけるアウトロー像を通して―╱謝惠貞
第六章 宇治茶と台湾烏龍茶―三好徳三郎と日台間における茶の交流―╱曾齡儀
第七章 日本統治期台湾における「植民論」と「植民地的近代」―後藤新平と高岡熊雄の関係に着目して―╱番匠健一
第八章 東アジア大衆観光における多元的な文化実践―台湾の士林官邸と蔣宋家族の逸話を例―に╱陳建源

人名索引
事項索引
編集者略歴
執筆者紹介

 
 

序文

林淑丹、陳明姿


  本書は、2016年に開催された第六回日台アジア未来フォーラム「東アジアにおける知の交流─越境・記憶・共生─」にもとづく成果である。同フォーラムは、日本渥美国際交流財団関口グローバル研究会、文藻外語大学日本語文系、台湾大学日本語文学系、台湾大学日本研究センターが共同で主催し、一般財団法人ワンアジア財団などの協賛を得て実現した。

  本編には八本の論文が収められている。第一編と第二編には、基調講演をしていただいた西成彦教授の「元日本兵の帰郷」と、フォーラムのパネリストである呉光輝教授の「越境、記憶、共存の根柢における「東洋」という概念」を、それぞれ寄稿していただいた。そのほかの論文は、すべて二人以上の審査委員の査読を経たのちに加筆・修正のうえで収録されている。

  近代以後の世界において、資本は移動する範囲を徐々に拡大し、情報化やグローバル化以後はその加速度をますます強めつつある。それは人間たちの移動と定住の布置関係に影響を及ぼし、文化変容のダイナミズムに地殻変動をもたらしている。それにより、これまで交渉のなかった人々が結びつけられる一方、境界によって区分された集団が差異化されもした。人間の共同体はさまざまな境界に接している。そこには文化、社会、政治をめぐる境界があり、さらに地理や気候といった自然に属する境界が混じりあってもいる。しかし同時に、人々の生活には種々の境界を越えていく側面もある。東アジアにおけるさまざまな文化事象を考える際にも、地域やジャンルを横断する思考が求められている。個々の地域に固有の出来事と見える場合でも、それらはエスニックな想像やテクノロジー、経済、メディアを介して流布する言説などによって、重層的かつ乖離的に織り合わされている。

  こうした状況のもと、東アジア圏のさまざまな共同体において分有されてきた記憶が、人々の越境を通じて再編成されていくありようを考察することが、学問的に重要な課題となる。また、国家や文化の境界をめぐる摩擦や論争は今日でもなお頻繁に起きているが、そうした境界がむしろ混じりあう地点に注意を払いつつ、ともに生きるという意味での「共生」を実現していく可能性を探る必要がある。

  本書は、このような視点から、東アジアにおける知の交流の変容を論究したものである。西成彦の「元日本兵の帰郷」では、日本人のディアスポラ、すなわち「流浪を強いられた帝国のマイノリティの軌跡」が、台湾人作家である陳千武の作品『生きて帰る』(『活著回来』)に即して論じられている。それは日本統治期における台湾人の「海外進出」と「帰国」という越境の現象に光をあてるものである。呉光輝の「越境、記憶、共存の根柢における「東洋」という概念――近代中日の知識人を中心に」は、本書のタイトルでもある<越境>と<記憶>が孕む意味が明快に読み解けるように企図されている。

  林淑丹の「生命と共同体の記憶―『楢山節考』の世界―」は、深沢七郎の『楢山節考』を例にとり、共同体の記憶について考察したものである。共同体の記憶はどのように作られ、語られてきたのか、過去の出来事はいかに記憶され、分有されていくのか。こうした問題について、生命と共同体の記憶とのかかわりを軸に検証している。他方、集団的記憶はどのような仕方で保存されているのだろうか。新聞媒体に記録されている集団的記憶は、作品世界といかに関連しうるのか。石川隆男の「張文環文学にみる保存的記憶―『山茶花』を例として―」は、このような問いの視点から、『山茶花』を読み解くものである。さらに、集団的記憶を検討することの延長上で、たとえば台湾と日本の国民は、「想像の共同体」をどのように築き上げ、再構築したのだろうか。この問題の一端を追究したのが、謝恵貞の「越境するノスタルジア―東山彰良『流』におけるアウトロー像を通して―」である。

  曾齢儀の「宇治茶と台湾烏龍茶―三好徳三郎と日台間における茶の交流―」では、日本統治期における日本のお茶商売人についての記憶を、同時代の台湾の新聞や雑誌などのメディアのうちに探り、台日間にまたがる事業の過程で進行していた両国間での人々の交流と、やがて成功へと導かれる業界の実態を検証している。番匠健一の「日本統治期台湾における「植民論」と「植民地的近代」―後藤新平と高岡熊雄の関係に着目して―」は、自身がこれまで積み重ねてきた研究成果を踏まえつつ、台湾に近代化をもたらした植民地主義のプロセスをどのように位置づけるべきかをあらためて論究したものである。陳建源の「東アジア大衆観光における多元的な文化実践―台湾の士林官邸と蔣宋家族の逸話を例に―」では、観光の現場における歴史の表象に関する問題をとりあげ、台湾の現代史が一部の観光地の中でどのように描きだされ、どのような記憶の再編をもたらしているのかを検討している。

  各論考は、既存の理論を無批判に適用することを避け、文化を一国の問題としてではなく、アジア各国間のずれや相違など、境界領域で起こる現象に注意を払いつつ、そこでの交渉や葛藤、越境、共生などをめぐる実証的な研究を行っている。そこに潜む多様な読みの可能性を、読者がさらに各自の思考へと展開していただければ幸いである。
 
 

詳細資料

  • ISBN:9789863502746
  • 叢書系列: 日本學研究叢書
  • 規格:精裝 / 224頁 / 15 x 21 x 1.8 cm / 普通級 / 單色印刷 / 初版
  • 出版地:台灣
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